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第149話

◇  外が少し騒がしい。  ルイゼンの国から一日かけてフェルカリアにやってきて、そのまま、歪なそれと共に閉じ込められて四日。  ノアリスは、少し前ルーヴェンが慌てた様子で部屋を出ていったのを皮切りに、外が騒々しくなっていたの感じていた。  何があったのだろうか。  怒鳴るような声は一度や二度しか聞こえてこないが、これはいつもの事だ。  使用人に腹を立てたルーヴェンが怒鳴りつけて、叱責する。  だから、今日もそうなのだと思っていたのにふわりと眩しい光が通った。 「──ノアリス王子、聞こえますか」  それは想像もしていなかった、イリエントの声だった。驚いて声も出せなかったノアリスは、ゆっくりと立ち上がる。 「声が出せませんか? 私の声が聞こえたのなら、何でも構いません、二度、音を鳴らしてください」  声は出せるがしかし、ノアリスは言われるがまま、手を二回叩いた。 「わかりました。すぐにそちらに参ります」  足音が近づいてくる。ノアリスは相手が本当にイリエントなのかどうか、今更ながらに不安になって、部屋の隅に隠れるようにした。  そうして現れたのはイリエントと数名の兵士。  ノアリスはたまらず駆け出し、イリエントの胸に飛びついた。 「ぉ、っと……上で陛下がお待ちですから、どうかその抱擁は陛下に」 「っ、ぁ、ご、ごめん、なさい……」 「構いません。不安でしたでしょう。……して、これは……」  そこでイリエントが見たのは、歪なあの卵だ。  イリエントとしては、この卵を持ち帰り調べ尽くしたいのだが、ノアリスは嫌がるだろうか。 「ノアリス様、この卵は──」 「……兄と、私から、できたもの、です。兄が、ずっと大事に、こんな大きさになるまで……」  話していて、吐き気がする。  しかし、どこからどうみても、そこには命があるように見えて下手に壊せやしない。 「……ひとまず、この卵も外へ持ち出します。宜しいですか?」 「……はい」  兵士が卵を回収し、ノアリスはイリエントの手を借りて外に出る。  すると床に座り浅く呼吸をしたカイゼルがそこには居て、ノアリスは心臓を大きく跳ねさせると、「カイゼル様!」と彼の肩に触れた。 「っ、ああ、ノアリス、よかった。無事か」 「私は無事ですが……ぁ、あ、どうしよう、怪我を……なぜ、こんな……胸を刺されて……っ?」 「大丈夫、大丈夫だ。問題ない。昔からの経験で、言わせてもらうと、話せてる、間は、死なない」  困惑したノアリスはその血を止めようとま白い手で彼の胸に触れようとして──後ろで暴れて拘束から逃れたルーヴェンがノアリスと卵を奪い、先程カイゼルに突き刺した小刀を、今度はノアリスの首元に当てた。 「イリエントッ!」 「すみません……!」  ルーヴェンを離してしまったのは、クローゼットの奥の部屋に入る時、兵士を多く連れていったせいで、ルーヴェン側が手薄になってしまったからだった。 「ノアリスも、卵も、私のものだ……ッ!」  ルーヴェンは目を赤くさせ、大声で怒鳴った。

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