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慰安※
部屋の前に、男が立っていた。おかしい。このエリアには、ゴッドブレス関係者しか入れないはずだ。先ほどの件もあり、夕陽は距離をとったが、隠れる場所がどこにもない。すぐに見つかってしまった。夕陽は先に、マウントを取る。
「あの、ここは立ち入り禁止です。出ていかないと、警備を呼びます」
男は脅しに反応を示さず、夕陽との距離を詰めてくる。
「お前が、あの子を治療したのか?」
「何の、ことです?」
男の目に、光がない。こちらを見ているはずなのに、どこを見ているのか分からない。なにを考えているのかも、分からない。ただ、夕陽に敵意を向けている。あの人と、同じだ。そう頭に浮かんだ途端、恐怖で身体がいう事をきかなくなる。
「とぼけるな!」
男が夕陽に飛びかかる。それでも、指一本動かせない。逃げるともっとひどい目に遭うと、そう身体が覚えてしまっている。夕陽は固く目を閉じた。
「ぎゃっ!」
カエルの鳴き声のような、男の悲鳴が聞こえた。夕陽がゆっくり目を開けると、ゴウが男を羽交い絞めにしている場面だった。気が、遠のいていく。
「離せ!あの子を返せ!罪を犯しても、大事な息子なんだよ!」
男はしばらく暴れていたが、ゴウの力には敵わないと悟り、おとなしくなる。
「言いたいことは、それだけか?」
「あれは……救済でも、何でもない」
そう言って、静かに涙を流した。
「あらあら、大変だ」
鹿野が、そう大変そうには思えないトーンで言って、駆けつけてきた。
ゴウから男を引き剥がし、手錠をかける。
「この人は、受付で門前払いした患者の父親だな。言動がおかしかったんだと。さっきの爆発の混乱で、抜け出せちまったのか」
ゴウが、鹿野を見た。猜疑心たっぷりの視線だ。
「あっ、セキュリティガバガバだって思っただろ。人が足りてねーんだよ」
「バンビがサボってるだけじゃないの?」
「何を!それより、夕陽がパニック起こしてるっぽい。部屋に入れて、寝かしてやれ」
そう言われて確認すると、夕陽がうずくまり、がくがく震えていた。
「夕陽!?」
ゴウが駆け寄る。支えてやろうと背中に触れると、震えが一段と激しくなる。
「ごめ……さい……逃げない、から……」
ほぼ聞き取れない小さな声で、誰かにずっと謝っている。こちらが見えていないようだ。ゴ
ウは夕陽を抱え上げて、部屋に戻った。
部屋に入ってベッドに腰かけてからずっと、夕陽はゴウに抱きついている。ゴウが背中をゆっくり撫でてやると、震えは治まった。
「夕陽、怖かったね。もう大丈夫だよ」
何度かそう声をかけたが、余計にゴウにしがみつく。その力は予想以上に強く、ゴウの内臓は圧迫されていた。さらに密着度を高めるためか、足でゴウを挟みこんだ。
「ゆ、夕陽さん?そんなんされると俺……」
ずっと弱い刺激を受けて、素直なゴウが反応し始める。何とか夕陽の上半身を引き剥がすと、きょとんとした顔でゴウを見つめた。まだ、頭が混乱しているのか、ボーッとして寝起きみたいだ。
「う。かわいい」
夕陽が何かに気づき、ゴウから体を離す。そのまま下にずれて、ゴウのズボンに手をかけた。
「な、なっ!ど、どうしたの?」
「お詫びです。こんなやり方しか知らないから」
「なんのぉ!?」
ゴウが狼狽えてるうちに、夕陽がズボンを下着ごと下ろす。さすがはシルク。すべるように滑らかだ。
「う……恥ずかし」
ゴウが手で顔を隠す。ゴウの下半身は、しっかり刺激を受け取り、半勃ち状態だ。
「本当は俺が、ゴウさんを守るべきなのに。パニック起こして何も出来なくて……」
「いや、そんなのいいよ。過去に何があったか知らないけど、フラッシュバックって言うんでしょ?仕方ないよ」
「でも、俺の気が済みません」
そう言って、夕陽がゴウの屹立を口に含む。
「いきなりっ……あっ」
我慢をしていたせいか、即座に快感が行き渡る。
「うっ……やば……」
夕陽の咥内で立派に育ったそれは、透明な蜜を零し始めた。
「よかった。嬉しい」
夕陽は口と手を駆使して、ゴウに快楽を与え続ける。痛そうな程張り詰めたところで、動きを止めた。その間に、ゴウが乱れた息を整える。
「……俺で達してください」
いつの間に準備していたのか、夕陽がぐずぐずにほぐれた秘部をゴウにあてがう。そして、ゴウを見つめながらゆっくりと呑み込んだ。
「んっ、ふっ……う……」
「う、うあ……熱」
奥にあたり圧迫され、少し苦しい。慣れるまで、息を整えながらじっとしておく。
「はぁ……はぁ……っ」
それを見守っていたゴウが、余裕のない表情を見せていて、夕陽はうれしくなる。そのまま上下にゆっくりと腰を動かし始めた。
「……んっ……はっ……あっ」
ゆるゆると与えられる刺激に、ゴウが痺れを切らす。
「夕陽、もっと動いて?」
こくん、とうなずき、ゴウの背中に手を回す。身体が固定されて動きやすくなった夕陽は、腰の動きを速めた。
「うあっ、あー……きもちい」
ゴウの反応に満足した夕陽が微笑み、さらに速度を上げる。先走りが潤滑剤となって、クチュクチュと、いやらしい音を立てた。
「ん?あ……あっ!」
ゴウが夕陽を抱きしめる。同時に大きく身体を震わせ、精を放つ。
「うっ……もう出ちゃった……」
夕陽は、自分の中で温かいものを感じながら、息を荒げるゴウの背を撫でて落ち着かせる。
「ゴウさんが気持ちよくなって、よかったです」
「うん。次、夕陽ね」
「いえ、俺は、あっ」
ゴウが、控えめに主張している夕陽の欲望を包み込む。切なそうに震え、愛らしい反応を見せた。
「ゴウさん……俺は、しなくていい、から」
「本当に?こんなんなってるのに?」
ゴウが指で優しくはじくと、夕陽の身体が軽く痙攣する。
「やぁっ……」
夕陽の意思とは別に、喉から甘くて高い声が出て、ゴウをきゅっと締め付ける。羞恥に顔を赤くした。それが、ゴウに火をつけた。
「……いいね。ナカに挿れたまま、イこっか」
ゴウが手の動きを徐々に速めると、夕陽の吐息も乱れ始めた。自分が与える刺激に素直に反応しているのを間近で見ると、認められているような気分になる。夕陽も、同じ気分を味わえているだろうか。
「あっ、だめっ……イくっ……」
びくっと、身体を震わせて、夕陽が果てた。「きもちいい」と、涙目で荒い息を繰り返す夕陽の妖艶さに、ゴウがまた、熱を持ち始める。
それからは、狂ったように求め合った。
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