12 / 61
第12話 凌駕の嫉妬②
「おはようございます。望月先輩」
「あぁ、おはよう。東雲をちょっと借りてもいいか?」
「大丈夫ですけど……。珍しいですね、望月先輩と東雲って」
「急用なんだ。東雲に頼みたくてね」
話しながら、さり気なく陽菜を高槻から離す。
「朝礼は間に合わないと伝えてくれ」
「了承です」
凌駕は営業部から離れた会議室へと促すと、ドアを閉めた瞬間、陽菜を壁に勢いよく追い込んだ。
「いたっ。どうしたんです……んっ、ん……」
喋ろうとする陽菜の唇を奪う。舌を滑り込ませ、口腔で激しく蠢かす。
「ぅ……ん……せんぱ……」
まさか会社で上司とキスするとは、思いもよらない。それも一方的に、週末を思い出させるような口付けを。
陽菜は瞬く間に蕩けて脚の力が抜ける。壁に背を付けたままズルズルとへたり混んでしまった。
リップ音を鳴らしながら凌駕の顔が離れる。
「高槻との距離が近過ぎる」凌駕は怒ってはいないが、不貞腐れているように感じた。
高槻とは今に限らず通常運転であの状態だ。それは凌駕も知っていると思っていた。
「何故、東雲は陽菜鳥なんて呼ばれている?」
「それ……は、僕の……ぁ、ぅ……なまえ……んん……」
説明をしようにも、キスは絶えず降り注がれていて、まともに喋らせてもらえない。
それどころか、どんどん官能を帯びてきて、陽菜の下半身が反応してしまいそうになっている。
凌駕は床に胡座をかき、その上に陽菜を跨らせた。この体勢では互いの股間が擦れて余計に我慢が利かなくなる。しかしキスで蹂躙された陽菜に、抗う余裕はない。
「俺は束縛もするし、嫉妬もすると言ったばかりだと思うが……」
それは勿論覚えている。けれども相手は高槻だと言いたい。彼の性格は凌駕も知っているはずだし、嫉妬の対象になることの方が驚きだ。
……というか、凌駕は嫉妬をしているのか?
考えられない。考えようとするとキスで責められる。また、凌駕に流される。
「今夜、もっと分からせないといけないようだ」
「あ、今夜……焼肉……」
「俺のマンションに来る前に? 高槻と?」
声を出すのが怠いので頷いて答える。どっちつかずになってしまうかもしれないと危惧していると、「そうか」と言ってアッサリ了承してくれた。と思ったのも束の間。
「しかし先週は黒川に良いところを取られ、今回は高槻。それは俺の気が済まない。今日は俺の奢りで焼肉にしよう。予約を取っておく。高槻はまた後日、ランチでも奢ってもらえ」
「……へ?」
「勿論、高槻も誘う。そのまま俺のマンションに来れば良いだろう」
混乱して理解が追いつかず、虚をつかれた表情で固まってしまった。
こんな強引な一面もあったのか。次々に現れる凌駕の新しい顔は、あとどのくらいあるのだろうと陽菜は思う。
「立てるか?」
手を伸ばしてくれたが、その手を取れなかった。ヒートこそ起こしてないものの、官能的なキスでスーツの中で隆起してしまっている。
「あの、もう少し落ち着いてから行きますので、望月先輩は先に仕事に戻ってください」
自分だけがこんな状態で、恥ずかしくて凌駕の顔が見られない。
すると凌駕は陽菜を抱え上げ椅子に座らせると、スーツのファスナーを下ろし前を寛がせる。
「先輩? なにして……」
凌駕は陽菜の脚を大きく拓かせ、その中心に反り勃っている屹立を口に含んだ。
「あっ、待ってくださ……こんな所で」
「このままでは出られないだろう」
「だからって、こんな……ひゃ、ぁぁ……」
「大丈夫だ。週末の内に東雲の良い所は把握してある」
瞬く間にイカせてやる。そう遠回しに言われた気がして、余計に恥ずかしかった。
会議室は内側から鍵をかけているから、誰かに見られる心配はないだろう。しかし問題はそこではない。自分のペニスを凌駕の口で嬲られているのだ。止めなければ……そうは思っても、凌駕の舌使いに、喉を逸らして声を抑えるので精一杯だ。
自分の脚の間でジュポジュポと淫猥な音を鳴らしながら口淫し、大きな手で肉茎を扱かれる。
「ん、ふ……っく……だめ、でる……」
凌駕の言う通り、陽菜は瞬く間に絶頂に登りつめ、迫り上がる白濁を凌駕の口中で飛沫させた。
凌駕は当然のように精液を飲み込み、陽菜の服を整えてくれた。
恍惚とした眸を向けると、柔らかく微笑みを浮かべる。
「続きは夜にな」
その言葉に喜びを隠せない。
すっかり凌駕に溺れていると自覚した。
夜を待ち遠しく感じている自分がいる。
ともだちにシェアしよう!

