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第22話 溢れ出す欲情②
「本当はここに閉じ込めて、俺の気持ちが伝わるまで抱き潰したかった。でもどれだけ抱かれても、きっと陽菜は気持ちを証明するものがなければ安心できないだろうと考え直した。こんなにも我慢をしたのは初めてだ」
「だって、最初から僕は……んっ、ぁ……一時的な、関係で……はぁ、ん」
「そう考えていたのは陽菜だけだろう? 俺はなにも、頸を噛んだ責任で承諾したんじゃない。あの時、陽菜を噛んだのは僥倖だった。これこそ、運命だと思うくらいに」
凌駕の律動が早くなる。「早く陽菜の中に這入りたくて仕方なかった」最奥の、更に奥まで男根を貫かれ、陽菜は背を撓ませ盛大に白濁を迸らせた。ほぼ同時に凌駕も中にたっぷりと射精する。
二人とも息が上がり、汗だくになっていた。
しかし凌駕はまた直ぐに硬さを取り戻し、腰を揺り始める。
「まだ。足りない」我慢が限界を越し、爆発したのだろう。
病院に行くのは金曜日と言ったのも、スケジュールの問題よりも時間を気にせず抱くことが目的だったのかもしれない。元々独占欲も性欲も強いと言っていた。なのにきっと凌駕もこの一週間は自慰すらせずに過ごしたのだろう。彼にしては一回目の最高潮に達するのが早かった。
想いの全てを陽菜に与えるためにしてくれた努力だと思うと、愛おしさが増す。
結合部からはオメガの液と凌駕の白濁が混ざり、注挿を繰り返すほど流れ出る。それが双丘を伝い、腰の方まで濡れていた。
止まることなく責められているが、それでも凌駕はまだフェロモンを放出しているわけではない。なので陽菜もヒートを起こしてはいなかった。オメガの性に支配された状態ではなく、素の陽菜を抱きたいと思っているのかもしれない。
しかしこんなにも痴態を晒されるなら、早くヒートを起こして自我を失いたい。煌々と電気に照らされ、淫らな姿を差し出しているようなものだ。
腰周りをぐしょぐしょに濡らし、突かれるたびに屹立が揺れる。紅潮した頬、だらしなく開いたままの口許、既に涙目になっている目許。こんな姿を素の状態で見られ続けては羞恥を覚える。
「ぁん、んっ、せんぱい、ベッド、行きたい」
凌駕が腰を突くリズムに合わせて強請る。凌駕のマンションとはいえ、こんな玄関先では落ち着かない。
早く二人だけの世界に入りたくて、ドアが閉まる前には限界を超えていた。陽菜の思い込みですれ違ってしまった時間を埋めるように、互いの気持ちを確かめ合う。触れたくて、触れられたくて堪らなかった。自分の居場所はここにしかないと確認したかった。
出会いから今日まで、振り返ってみれば一ヶ月も経っていない。なのに、もう何年も焦がれたように胸が痛む。
念願叶って、また凌駕の元へ帰って来られた喜びを、もっと味わいたい。
凌駕はまだ繋がっていたかったのか逡巡したが、陽菜の身体を気遣い横向きに抱き上げると寝室へ移動した。ドアは開けっ放しだった。廊下から入り込む光だけで、視界はほとんど暗闇だ。
ここから、全く違うセックスになるのだろうと身構える。
凌駕は陽菜をベッドに下ろすと、蠱惑的な目付きで捕らえられた。
「アルファのフェロモンを解放させる」
「はい……」
唾液を呑み込む音が脳内に響く。下腹の奥からじんとした熱が疼く。
アルファの精が欲しくて堪らなくなる。
ヒートだ。
凌駕の匂いに引き寄せられるように、身体をオメガ性に支配されていく。
「甘いな。唆られる、いい香りだ」
「先輩も、脱いでください」
恍惚とした眸を向けると、凌駕はシャツも全て脱ぎ捨てた。汗でしっとりと濡れた肌が背後から差し込む灯りに照らされ、やけに艶やかに感じる。
オメガ性が優位に立てば、自分で自分をコントロールできなくなる。既に陽菜の孔は、凌駕を受け入れたくて弛緩したり収縮したりを繰り返している。早く、早く、この身体を凌駕で埋めつくして欲しい。
「俺を欲しがれ、陽菜」
「ほし……欲しいです、先輩が。望月先輩の精液を注いで欲しくて我慢できません」
陽菜は自ら脚を拓く。
孔からはさっき射精 された白蜜が垂れている。凌駕はその上から男根を宛てがい、一気に最奥を貫いた。
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