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最終章・ライバルの君と永遠の愛を誓う①

伯爵家の領地経営について学び始めた二人は、夜は同じ部屋で過ごすことも多くなっていた。初めは照れと羞恥心によりぎこちなかったが、すぐに慣れて会話もスムーズにできるようになってきている。  屋敷の誰もが寝静まった深夜、天蓋付きのキングサイズのベッドでオライオンと一緒に眠っていたルキノは、寝付けずにいた。軽く足を曲げて身動ぐ。横を見ると整いすぎた寝顔が目と鼻の先にあり心臓が飛び跳ねた。  婚約して正式にパートナーと認められてから忙しい日々が続いていた。領地経営に必要な地理や計算などの勉強に含め、各所への挨拶回り。研究室でもエリクサーだけでなく、もっと簡単に魔力過剰を緩和するための薬の開発が始まっている。  めまぐるしい日々の中、オライオンと触れ合えるのは寝床を共にする時間だけだ。  ──オライオンも疲れているのにもっと触れてほしいなんて言えない……。  ルキノも健全な男だ。好きな人と共に毎晩眠っていれば欲情もしてしまう。それに比べてオライオンは軽いキスだけでスキンシップをやめてしまうため、ルキノはいつも不完全燃焼だった。  閉じていた目を薄く開けると、オライオンが起きていないか確認する。起こさないように少しだけ離れると、少しだけ固さのある下半身へ寝間着越しに触れてみる。快感は確かにある。けれど物足りず、次は寝間着の中へと手を入れて、直接ペニスを扱いてみた。  自慰の経験などほとんどない。いつも大抵勉強や研究に明け暮れていて、気がつくと倒れるように眠っていることがほとんどだったからだ。朝起きたらすぐに支度をして、またやらなければならないことへ没頭する。その繰り返しだったため、もうすぐ二十歳だというのに、行為自体を行ったこともない。 (……これで合ってるのか?)  気持ちいいのかもわからないまま手を動かし続ける。寝間着が邪魔になり脱ぎ捨てると、下半身は下着だけを纏った状態になる。手を動かしやすくなたため少しだけ先程よりも快感を拾えるようになってきた。 (オライオンに触れてほしいっ……)  もしもペニスに触れている手がオライオンだったら……と想像するだけで、気持ちよさが倍になる。キスをする姿を思い浮かべてしまい、思わず口を開いて舌を前へと突き出す。 「ふっ、ンンっ……」  抑えようとしても声が漏れてしまう。思い浮かべるだけで本当に触れられたかのようにに亀頭の先端から汁があふれ出し始めた。 「ルキノ、一人でなにしてるの?」 「へっ、ぁ!?」  驚きすぎて毛が逆立つような感覚がした。背後からお腹に回された腕は、想像していたものよりも力強く温かい。無理矢理後ろを向くと、欲情し、色気を放つ瞳と目があった。 「俺を放っておいて一人で楽しんでいたの?」 「違っ……」 「違わないでしょう」  腹に回されていた手が寝間着の中へと潜り込んできた。ふにふにと揉みしだくように胸に触れられて、羞恥心で顔を林檎のように赤く染め上げる。  長い指先が焦らすように乳首の周りをくるくると撫でてくる。その気持ちよさに負けて、ルキノは高い喘ぎ声を漏らした。 「手が止まってるよ」 「だ、だってぇ」 「頑張って」  耳朶を甘噛みされて、甘い息が鼻から抜けていく。言われるまま必死に手を動かすも、乳輪を指先で刺激されて集中できない。乳首の先端が触れてほしそうに頭をもたげ始める。無意識に胸を突き出すと、オライオンが爪先で優しく乳首を弾いてきた。 「あぁんっ!」  高い声が部屋を満たす。腰が揺れて先走りが手を濡らす。乳首を親指と人差し指の腹で摘まれて、強い快楽に襲われた。自然とペニスを扱く手が早くなる。お腹の奥からズクズクと昇ってくる欲望に、自分自身が翻弄されていく。 「まさかルキノがこんなにエッチだなんて思わなかったな」 「っ、オライオンが、ぁ……触れてくれないから……」  恥ずかしがらながらも気持ちを伝える。もっと触れてほしい。隅から隅までオライオンて染め上げてほしかった。ルキノ自身もこんな欲が自分の中に眠っているとは思ってもいなかった。  オライオンの手がルキノの手の上からペニスを包み込んできた。そのまま強く擦られて、気持ちよさに口が半開きになる。後ろから片手で顎を掴まれると、舌を絡めながら口付けをする。いつも穏やかなオライオンとは思えないほどに荒々しい口づけだった。 「俺だって我慢してたんだからね」 「っ、んん……ちゅっ」  リップ音が鼓膜を揺らし、先走りがシーツに散る。  オライオンが求めてくれることが泣きたくなるほどに嬉しくて、胸が熱くなるほどに幸せなことだと思える。 「やぁ、もっ……イッくっ」 「イクところ見せて」  腹に響く声音に後押しされて、ルキノは勢い良く精液をシーツへと吐き出す。指や手のひらにも白濁が付着し、やけに煽情的な姿になってしまっている。  起き上がったオライオンがルキノの股の間に身体を滑り込ませてきた。果てて力の抜けたルキノは、帝光することもできずオライオンに身を委ねる。 「ルキノがほしい」  興奮を含ませた荒い吐息がオライオンから漏れる。瞳を潤ませたルキノは、受け入れるように小さく頷く。仰向けになったルキノの背に痛まないように枕を敷いたオライオンが、太ももを掴みそこにキスを落とす。  大きく足を開いたことで秘部が露わになってしまった。羞恥心と未知の行為への不安で無意識に足を閉じようとしてしまう。けれどオライオンにやんわりと阻止されてしまうため、股を閉じることは敵わなくなる。  白濁で濡れそぼったペニスよ裏筋を指先で撫でらる。気持ちよさに身震いすると、オライオンが体を曲げてペニスを口内へと含んだ。 「あっ、だめっ!口の中熱いっ」 「もっと可愛い声を聞かせて」 「あっ!あ、ぅぁっ。溶けちゃうっ」  熱いっ口内でペニスを転がされる。唇で()まれると、ゾクゾクと背筋を痺れが走る。蜜穴がひくつき、足の指先に力が入る。  ジュッと音を立てながら喉奥で吸われて、ルキノは叫びにも近い甘声を発しながら口内で果ててしまう。喉仏が上下に動いたことで、オライオンがルキノの欲を飲み込んだことがわかった。

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