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第4話

「……し、シロネコくん……?!」 輝明は「そこかよ」と心の中で突っ込むも、慌てふためくシロネコくんが本当に猫みたいでクスクスと笑ってしまった。 「俺、キミの名前知らないからさ。シロネコくんって呼んでんの」 腕を組み、肩を壁につけて輝明は微笑んだ。 すると、シロネコくんはムスッとした顔をしてポケットをゴソゴソ漁り、何かをしだした。 (……お、機嫌損ねちったか) 輝明は心がチクッと痛むのを感じるも、ポーカーフェイスを保ったままシロネコくんが何かし終えるのを大人しく待っていた。 待っていると、あっという間に終わったらしくムスッとしたままシロネコくんは「……貰ってください」と白い紙を渡してきた。 輝明は少々驚きながらも、その白い紙を受け取る。 「じゃ、じゃあ……また……っ」 そう言ってシロネコくんは輝明に渡した瞬間、軽く会釈をして玄関を後にした。 残った輝明はまた呆けながらも渡された白い紙をゆっくり開いた。 「……へ」 そこに書かれていたのは輝明を驚かせるには充分な内容だった。 「……ははっ……。 あんまり嬉しい事されると、オジサン心臓止まっちまうよ……」 輝明の手に握られた白い紙にはサラサラと軽い筆圧で書かれたような輝明とは真反対の字面。 爽やかな明るい文字で書かれていたのは、 『白居 颯(シライ ハヤテ)!!!ネコじゃありません!!』 可愛らしい怒った猫のイラストの吹き出しに文字が書かれていた。 輝明はその紙をテーブルに起き、煙草とライターを手に取りベランダに出て火をつけた。 ベランダ下にある駐車場にはもうシロネコ急便のトラックは無く、止めてあった筈の場所を見つめながら煙草を吸った。 (……あー……可愛い……) 輝明の想いは、吐き出された煙と共に風に乗って消えていった。 不毛な片想い。 輝明は理解している、つもりだった。 日常のうちのちょっと嬉しい事の1つ。 それくらいに考えときゃいい、と。

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