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第21話
アルさまとセドさまの手のひらに舞い落ちた花びらが赤い紙に変わった。
「祝福の色と、警告の色。アルドリック殿下はどちらだと思いますか?」
「警告の色だと思います。クリュエル子爵がまたよからぬことを企てているのかもしれません。国を守る要なのにも関わらず首都警護に駆り出され誰一人戻ってこず兵力は五十にも満たない。ちょうど今は農繁期です。召集をかけても戦えるだけの人数を集めることはおそらく無理かと思います」
「不平分子を片っ端から粛清しているみたいだからな。しかし、たいした聖女さまだ。次から次に王子たちや側近たちを籠絡して、邪魔になれば容赦なく切り捨てるのだから」
「兄二人がまさか命を落とされるとは思いませんでした。突然倒れられた陛下の意識は依然として戻らない。もう長くはないでしょうね」
「王弟が聖女と婚約をして王太子になったと聞いた」
「第三王子は私より二歳離れています。公爵家の令嬢と結婚したあとすぐに子どもが生まれ、王籍から離れました。ですからまだ独り身の王弟殿下と結婚したのでしょう」
「用済みになれば殺されるとも知らずにな」
「私にはどうしようも出来ません。サクと領民と領地を守るだけで手一杯ですから」
アルさまが赤い紙を手で握りつぶした。
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