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第25話
「サク、俺にはしがみついてくれないの?寂しいな」
「え?」
セドさまに言われてはじめてアルさまの腕にしがみついていることに気づいた。
「手だけでもいいから、握ってほしいな」
右手を差し出され、おずおずとその手をとった。
「こんなに震えて。かわいそうに。よほど怖い思いをしたんだね」
「聞いたらきっと腸が煮えくり返りますよ」
「じゃあ魔物に餌として進呈しようかな」
「魔物がかわいそうです」
「それもそうだね。じゃあ、どうしようかな。ミラー湖にでも沈めようかな」
愉しそうに笑うセドさま。でも顔は笑っていない。
「王太子の地位を追われてもプライドはまだ残っているはすだ」
レオポルドさまを裏で操る黒幕を暴くため、泳がせることにしたアルさまとセドさま。捕らえていた三人も解放した。
「あとを追え」
セドさまが民衆に紛れ込んでいた黒い騎士団の騎士たちにそう命じた。
「私はいないものとして扱われていましたから。お気になさらずに」
アルさまはみなに心配をかけまいと気丈に振る舞っていた。
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