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第27話

「首都をここノードフォルトに移す。グラシオ公爵には首都ペレイを新たな領地として与えると。自分たちはなんの苦労もせず楽することばかり。痩せた土地を開墾し、貧しくても明るく日々懸命に生きる領民のことなど一切頭にない」 「ミラー湖が干上がってしまいます」 「領民だけでなくメイソン村の人たちも路頭に迷う。大勢の人が餓死することになるだろう」 「聖女の力があれば時間はかかりますがペレイももとの美しい姿に戻るでしょうね」 「そしたらまた首都をペレイに戻すと言い出す。自分さえ良ければ他はどうでもいい。自分勝手な人たちだ」 陛下からの親書を握りつぶすアルさま。 「クリュエルが半月後王太子の名代として視察に来る。王太子の結婚式の日にな」 「殿下の留守を狙って乗っ取る魂胆ですね」 「そうだ」 「好きにはさせませんよ。セドリック殿下が陛下の名代として結婚式に参列します」 帝国の皇帝からの信書をアルさまに渡すスフォルさん。 「まずは若い女性と子どもをメイソン村に避難させましょう。子爵のくだらない遊びから彼女たちをを守るためです。妊婦も同様です」 「事は急を要するということか」 「左様です。アルドリック殿下がここを発ち、サクさまがお一人で留守をする、警備は手薄。そこを狙ってくるでしょう」 ゼオリクさんの表情もいつになく険しかった。

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