28 / 83
第28話
ユフとスフォルさんとゼオリクさんたちが手分けして領民に説明して回り、翌朝にはセドさまが手配してくれた荷馬車で女性と子どもたちがメイソン村に避難をはじめた。
三十代後半の女性たちはみんな残ることを選択した。
「若い子たちはよその町や村からここに移ってきた子が多いから、男爵の悪趣味と非道な収奪を知らない。川が干上がり草が一本も生えず荒廃したノードフォルトをここまで復興できたのは殿下とサクさまのお陰だもの。私たちが殿下とサクさまをお守りする番よ」
「俺たちは何をしたらいい?」
「兵たちはおそらく十分な食料を与えられていません。水と食料と酒をまず漁るでしょう。何をされても反抗しない。相手を怒らせるだけですから。皆さんを守るために帝国側の兵をそれぞれの店に配置します」
「男爵もそのあとに来た貴族も嘘ばかりで信用出来なかった。でもサクさまの嫁ぎ先の兵隊さんなら信用できる」
「スフォルさんとゼオリクさん、サクさまをお守りしてくれ。彼は俺たちの希望なんだ」
領民たちは好意的に受け入れてくれた。
「まさか皇帝陛下が一万もの大軍をノードフォルトに派兵するとはな」
「陛下も王妃もまだ会ってもいないサクが可愛くて仕方がないらしい。守ろう、サクを」
「あぁ、そうだな」
スフォルさんとゼオリクさんが決意を新たにした。
ともだちにシェアしよう!

