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第33話

「あたしらは男爵がやって来たことをつぶさに見てきた」 「領主さまがいらっしゃらないんだ。あたしらでサクさまをお守りしないと」 「酒が上手くない、料理もまずい、何かと難癖をつけるんだ。若い女性に対しては見境がないのよ。侍女として仕えろと無理やり城に連れていって。口では言えないようなひどいことをして。やりたい放題よ。反抗的な態度をとればすぐに捕まって牢屋に入れられるんだ」 ユフもスフィルさんたちも黙って聞いていた。 「国境を越えて逃げてきた人たちから話しは聞いていたが、これ程酷いとは……」 ジュリアンさんが深いため息をついた。 「早急に手を打たないといけませんね」 女性たちが帰ったあと、セバスチャンさんも交えて日付が変わったあとも今後のことを話し合っていた。 何気に鏡を見ると右の首すじに鬱血のあとがくっきりと残っていた。何もこんな目立つところにつけなくてもいいのに。 ユフもセバスチャンさんも、スフィルさんもゼオリクさんもすぐに何があったか気づいたみたいだけど言わずが花。普段となんら変わらず接してくれたから良かった。 ジュリアンさんには二年待つと聞いていたのですが、殿下もなかなかやりますね、嬉しそうに微笑んでいた。 あぁ~~もう思い出すだけでも恥ずかしい。頭を抱えた。

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