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第34話
アルさまから告白をされたあの夜。
いつものアルさまじゃなくて。すごく怖かった。
私はもう子どもではない。弟では嫌だ。主君としても嫌だ。対等な立場できみを愛したい。真摯に思いを伝えると、抱き上げられ、ベットにそのまま運ばれた。
ふと唇を指先でなぞった。
まだ感触が残っている。
日々の生活に追われて誰かを好きになるなんてなかった。キラキラした眩しいセカイとは縁がないと思っていたから。誰ともつきあったことがなかったから。はじめてのキスだった。
この痕を見たセドさまの表情が一変した。いつもの優しいセドさまとはまるで別人のようで。すごく怖かった。
うしろから抱き締められてキスをされて。アルさまに痕をつけられた同じところを強く吸われた。
これからどうしよう。どんな顔で二人に会えばいいんだろう。そんなことを考えていたら、クスクスと笑う声が聞こえてきて。ドキッとして振り返るとスフィルさんとゼオリクさんと目があった。
「してやったりのアルフレッド殿下のお顔と、子どもだからと油断してしてやられたというセドリック殿下のお顔。なかなか見物でした」
「アルフレッド殿下はなかなかの博識の持ち主ですよ。帝国の言葉が分からないと仰っていましたが十歳のときには近隣諸国の言葉をマスターされています」
思ってもみなかったことを言われて驚いて声もでなかった。
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