45 / 83

第45話

帝国は実力主義。平民の出でも実力次第では騎士団長にもなれし、功績を挙げげば爵位を賜ることもできる。だから優秀な人材が自然と集まる。 「ちょっとなにをするのよ!こんなことをしてあとで覚えておきないよ!」 「離しなさいよ!あたくし達を誰だと思っているのよ」 「痛い!なんとしなさいよそこの従者」 屈強な兵士相手に勝ち目などない。両脇を掴まれ、ぎゃんぎゃん喚きながらあっという間に別室へと連れていかれた。 「やっと静かになった」 ユフさんとジュリアンさんが従者と静かに対峙した。これだけ賑やかなのにクリュエル子爵はいびきをかいて寝ていて起きる様子はなかった。 「老いぼれに恨みを持つ領民たちをけしかけて暴動を起こさせ、その混乱に乗じて老いぼれとあの女たちを始末させる予定だったが、とんだ番狂わせを食らった。なにもかも全部あんたらのせいだ」 従者が本性を現した。 「そもそもなんでここに帝国の皇太子がいるんだ?」 「私は王位継承第一位ですが皇太子ではありません。可愛い弟の妻を一目でいいからこの目で見たくなったからです。女性から逃げるために魔物退治と国境のパトロールばかりしてほとんど王宮に寄り付かなかった弟がある日突然帰って好きな人がいる、彼と結婚したい、同性婚を認めるように法律を変えたいと言い出した時は何事かと思いましたよ。弟はアルフレッド殿下と争っても勝ち目はない。慣習を破ることになるがと二人ならサクを守れる、サクは真の聖女、両国の友好の懸け橋になると両親を説得し結婚を認めさせました。あなた方はサクを偽者扱いして処刑しようとした。でもサクに利用価値があると分かると否な手のひらをひっくり返した」

ともだちにシェアしよう!