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第48話
「申し遅れましたが、黒の騎士団の団長をしていておりますスフォル・デューク・ヒューベルトと申します。ご名前くらいは聞いたことがあると思いますが」
「デューク・ヒューベルトってまさか……」
クリュエル子爵の顔から血の気が引いた。
「イギア帝国帝国を敵に回すか、それともここから即刻立ち去るか、決めるのはクリュエル子爵殿、貴方です」
スフィルさんは恐いくらい落ち着いていた。
「出ていけ」
「もう二度と来るな」
市民たちがクリュエル子爵を睨み付けた。
「何をしたらこんなに嫌われるのですか?貴方にお聞きしたいです」
「うるさい。今回は許してやる。だが」
「だが、なんですか?」
スフィルさんが鋭い目付きでクリュエル子爵をじろりと見下ろした。
「混乱に乗じてイクス王国が国境を越えてきて戦闘がはじまっていますよ。王都にいらっしゃる大切なご家族を守らないと」
「余計なお世話だ。野蛮人相手に我が国が負けるわけない」
「強がっていられるのも今のうちですよ」
スフィルさんが意味深な笑みを浮かべた。
「サクさま大丈夫ですか?」
ゼオリクさんが声を掛けてくれた。
「僕は大丈夫です。マリー大丈夫?恐かったよね
サクさまが守ってくれるって、信じていたから」
泣きじゃくるマリーや子どもたちを抱き締めた。
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