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第53話
「もしかしてエリオット殿下も一人では寝れないとか、暗いのが苦手とか、幽霊が怖いとかですか?」
「なぜ分かった?」
「閣下と同じだからです」
「セドもあぁ見えて、実は一人では寝れない。怖がりではないがな。セドは隠すのが上手い。セドがいるときは私が寝るまでセドに隣にいてもらうんだ」
「そうですか」
「この年になって変だろう」
「いえ、人それぞれですからね。閣下もいまだにサクさまに添い寝をしてもらわないと寝れません」
「仲間がいて嬉しい」
「喜ぶことではないんですけど……」
ユフが額に手を置いた。
エリオット殿下が相手だとどうも調子が狂うユフ。
「セドが羨ましい」
「婚約者を亡くし喪に服しているということになっていますが、それが過ぎたらエリオット殿下にもきっとすてきな出会いがありますよ」
「そうかな」
ため息をつきながら隣に腰を下ろすエリオット殿下。ユフと殿下、二人に挟まれる格好になった。アルさまとセドさまに見られたら間違いなく焼きもちを妬かれる。
「顔が赤いようですけど……」
「なんでもありません。気にしないでください。あと顔を見ないでください」
「なんでですか?」
ユフにクスクスと笑われてしまった。だって恥ずかしいからに決まっている。それにみっともない顔をしているから。
エリオット殿下の反応が気になって、チラッと見たら、にっこりと笑っていた。笑った顔がセドさまにそっくりでやっぱり兄弟なんだなって思った。なんで最初に気づかなかったのだろう。それがとても不思議でならなかった。
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