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第59話

首輪が宙に浮きぱっと消えていった。 「マジックみたいですごいです」 「マジック?」 「いえ、何でもないです」 慌てて首を横に振った。 「これを企てた輩は?」 「部下を囮にしてさっさといなくなった。逃げ足だけは早い」 「なるほどね」 城の方角を見るザンサ―さん。 「エリオット殿下にはユフがついている。それにセドリック殿下たちがこっちに向かっている」 「それは分かる。砂漠を馬で疾走している姿が見えたから。クチュリエルと会わないようあえて砂漠を選んだのだろうけど。炎天下、道標もない、正気かと思ったよ。でもミラー湖の守り神のドラゴンが二人についているから心配ないよ。サク、きみこそすごいよ。ドラゴンを迎えに行かせるんだから」 「僕は何もしていません。ドラゴンなんて知りません」 急に話しをフラれ慌てて首を横に振った。 「じゃあ、きみのまわりにいる白いのは?」 ザンサ―さんには見えているけど僕には見えなた。 「白い赤ちゃんドラゴンだよ。きみのまわりをぐるぐるまわっている。助けてもらった、そう言ってるけど?」 「ぜんぜん心当たりがないです」 「ふぅ~ん、そうなんだ」 ザンサ―さんが訝しげに口にした。 言われてみればポカポカとまわりがあたたかいような、そんな気がする。

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