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第64話

「グラシオ公爵より十歳も年上だからね」 「サクなんかを選ぶより私を選んで、サクさんかより私のほうが魅力がある、サクなんかより私のほうが満足させられる、サクなんかより私のほうが貴方のお子を産む資格がある、だって私が本物の聖女だもの。ミ―ナはサクを蔑み馬鹿にして自分の評価を上げることしか頭にない」 「女は怖いね~~」 「この世に女性がミ―ナだけだとしても、俺は絶対に好きにならない。お断りだ。アルもそう断言していた」 「そっか」 エリオット殿下が嬉しそうにニコニコ笑っていた。 月がとても綺麗な夜だ。朝からいろいろあって疲れた。打合せが長引いているのかアルさまとセドさまはなかなか戻ってこない。ベットに横になるとすぐに眠気が襲ってきて。うとうととしていたら、かたんとドアが開いたような気がして目を開けると、 「うわぁ~~びっくりした」 目と鼻の距離にアルさまの顔があったからびっくりした。 「ごめんね驚かせて。エリオット殿下がなかなか離してくれなくて、遅くなった。待ちくたびれたよね」 額にちゅっと軽くキスをされた。 「ここにもしていい?」 唇を冷たい指先で撫でられると体がゾクゾクと震えた。 「アル、抜け駆け禁止だと約束をしたよな?油断も隙もない」 「遅く来るセドリックが悪い」 「俺は悪くない。文句は兄さんに言ってくれ」 セドさまがベットにのぼってきて。アルさまと同じように額にちゅっと軽くキスをされた。月あかりに浮かんだのは逞しい裸の上半身。 それで完全に目が覚めてしまった。 「な、なんでアルさまもセドさまも裸なんですか」 「下は穿いている」 「私も穿いているよ」 「そういう問題じゃなくて……」 恥ずかしくて顔が真っ赤になった。

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