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第65話
「セ~ド~」
弟が大好きなエリオット殿下。大人しく一人で寝るわけなどなく嬉々として乱入してきた。
「兄さん、誠に言いにくいんですが、今の状況を鑑みていただきたいんですが」
「サクはね、みんなのサクだよね?二人占めするつもり?」
「いや、いや、サクは俺の妻ですし、アルの妻でもあります」
「私は、私の妻にとサクを望んでいる」
「は?」
セドさまの目が点となった。
「だから、私もサクの夫として混ぜて欲しい」
「兄さん、自分で何を仰っているか、理解しています?」
「してるよ。それよりも寝よう。朝からいろいろあって疲れたよ。ユフは冷たいし、塩対応だし。セドに癒してもらわないと疲れがとれない」
問答無用とばかりにセドさまに抱きつきその勢いのままベットに押し倒すエリオット殿下。
「兄さん、四人で寝るベットではありませんよ。アル、笑っていないで助けろ」
アルさまは僕を独り占め出来るのが嬉しいみたいで、セドさまに何を言われても聞き流していた。
せめて服だけは着てください、アルさま。
イケメン三人に囲まれて僕の心臓が持ちそうもありません。
夜中にぽっかりと目が覚めた。アルさまもセドさまもお腹が冷えるからちゃんと服を着てくれたんだ。良かった。
二人の顔を交互に見ていたらエリオット殿下と目があってしまった。
「あっ……」
今さら寝たふりをしても通用しないよね。嘘だとバレバレだよね。どうしよう、どうやってやり過ごそうかな。とりあえずえへへと笑って誤魔化した。
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