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第66話
「少し、話しをしようか?」
「はい。エリオット殿下も眠れないんですか?」
「その殿下って呼ぶの、やめてほしいな」
「ではなんとお呼びしたら?」
「セドみたくエリでいいよ。私の可愛い義理の弟になるんだし遠慮はいらないよ」
「はい、分かりました。これからはそうお呼びします」
「聖女ミ―ナの顔がまるで別人のようで最初分からなかったと耳にした。セドとアルと会ってわずか数日しか経っていたのに」
「姉はどんな顔をしていたんですか?」
「詳しいことは私も知らないが片方の目が異常に腫れていたと話す者や、顔全体が浮腫んでいたと話す者もいる」
心当たりがあるとしたら顔を整形手術したとき何らかのトラブルがあって今頃になって後遺症が出てきたってことだろうか。美容整形に関するトラブルが多いって聞いたことがある。
「きみにとっては唯一の家族なんだろう?もし助けたいなら……」
「僕には姉はいません。僕の家族はここにいる三人です」
「そうか、分かった。私もその三人にいれてもらえて光栄だよ」
エリオット殿下……ではなくてエリさまの手が伸びてきた。
「兄さん、お触り禁止」
セドさまの声がしたからドキッとした。
「なんだ起きていたんだ」
「起きてましたよ、誰かさんが離してくれないから暑苦しくておちおち寝れません」
「そうか、それは悪かったね」
アルさまを起こさないようにエリさまが小さく笑った。
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