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第71話

「オリヴィエ兄上に生き写しだからすぐに分かったよ。レオリック会いたかったよ。しかし残念だったね、親の仇を取れなくて」 唇の端をつり上げてニヤリと笑うルシアン陛下。ユフを挑発しているようにしか思えなかった。 「お陰さまでこの手を汚さずに済みました。感謝していますよ」 「そうは見えないけど」 「気のせいですよ」 表情ひとつ変えず淡々と答えながらルシアン陛下の前に温かい紅茶が入ったティーカップを置くユフ。 「あなたの連れの女性。人ではありませんよね?魔物ですよね?」 ギクッとするルシアン陛下。 「はじめに言っておきますが私たちには魅了の魔法は効きませんよ。あなたの言いなりにはなりませんから」 「あれ、もしかして出番だったりする?」 ハムを挟んだパンを片手で頬張りながら姿を現したのはザンザ―さんだった。 「なんでいるんだ?」 驚いたような声を上げるルシアン陛下。 「なんだ覚えていたんですか。へぇ~~意外ですね。セドリック殿下と一緒にご挨拶させていただいた時、人目はばからずミ―ナといちゃついて私たちの方は一切見向きもしなかったのでてっきり覚えていないかと思いましたよ。あ、でもミ―ナは上の空でセドリック殿下をチラチラと見てましたが。愛し合っている新婚夫婦に水を差すような真似は今後一切控えて下さい。ルシアンさまこれをお忘れですよ」 ザンザ―がルシアン陛下の前に従属の首輪をひとまとめにしたものをどんと置いた。

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