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第84話

皇帝夫妻が主催した歓迎パーティーはとても華やかで豪華なものだった。国中の貴族が招待されたとセドさまが話していた。 場違いじゃないかな。セドさまの妻として、皇族の一員として貴賓席に座ってて本当に大丈夫なのかな。みんな知らない人ばかり。チクチクと刺さるような視線がやっぱり怖くて、顔を上げられなくて。緊張して、不安で。震えが止まらなかった。 「サク、私とセドがいるから。大丈夫だよ」 「そう、俺たちが側にいるから」 アルさまとセドさまがそっと手を握ってくれた。 「サクに向けられている視線はむしろ私に向けられている。敗戦した敵国の王子がなぜここにいるのか納得していない者のほうが圧倒的に多いはず。捕らえられ極刑に処されてもおかしくないからね」 「アルは臣籍降下し王族ではない。レオポルド卿がそう証言している。アルを極刑に処したらミラー湖一帯の領民が一斉に暴動を起こしかねない。それに飛竜が怒って暴れたりしたらそれこそ大変なことになる。だからいちいち気にするな」 セドさまがにっこりと笑んだ。 「サクさま、お会いしたかったです。夫と弟たちはサクさまに迷惑をかけていませんか?」 ジュリアンさんと一緒に妻のシャロンさんが挨拶に来てくれた。スフォルさんとゼオリクさんに目のあたりがとてもよく似ている。 「迷惑だなんて。いつも助けていただき感謝しています。先日はお手紙をいただきありがとうございます」 ひょっこりと小さな男の子が顔を出した。

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