86 / 88
第86話
ママにそっくりだね。目の色はパパかな。ミドルネーム。何がいいかな。シアーズさまに話しかけながら抱っこをしていたら、
「いつも思うけどサクは赤ん坊の扱い方に慣れてるね」
「赤ん坊だから許すけど俺たち以外の男に触れないでほしいな」
アルさまとセドさまがぴたりと体を寄せてきた。
「セドは心が狭いね」
「そういうアルのほうこそ。きみにだけは言われたくないな」
「ちょっと二人とも」
いつものように口喧嘩をはじめる二人。仲がいいんだか悪いんだかたまに分からなくなる。
シアーズさまをシャロンさまに返そうとしたら離れたくないと言わんばかりにぎゅっとしがみつかれ、ギャン泣きされ、ジュリアンさんの屋敷にそのまま向かうことになった。スフィルさんとゼオリクさんも一緒だ。
「新婚なのに……」
「いつも一緒にいられるんだ。一晩くらい我慢しろ」
エリさまがクククと笑った
「兄弟で親交を深めるのも悪くない。アル、きみもそう思うだろ?」
ぶすっとしながらもエリさまの言うことに従うことにしたアルさま。
「飲み明かそうか?」
「酒はまだ飲めません」
「知ってる。実は私もセドも酒は嗜む程度で飲めない口でね」
「そうなんですね」
「出来ればそのユフの話しをいろいろ聞かせてほしい。好きな食べ物とか、苦手なものとか……」
「答えられる範囲でならいいですよ」
アルさまがにっこりと微笑んだ。
「よもや私たちのことを忘れていないか?」
「そうよ。私たち家族なのに内緒話だなんてひどいわ」
お義父さまとお義母さまに声をかけられるまでアルさまたちは後ろに二人がずっといたことにまったく気が付いてなかった。
ともだちにシェアしよう!

