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第92話
屋敷のなかも豪華絢爛、まるでお城のようだった。床はピカピカに磨き上げられて至るところに飾られている絵画や調度品は見るからに高価なものだった。
「スフィルたちの家のほうがここよりもっとすごいぞ」
「え?そうなんですか?」
「あぁ」
見るもの聞くものが初めてで。そんな僕の反応が面白いのかジュリアンさんはずっと笑っていた。今日泊まる貴賓室に案内されると、そこもすごいことになっていて呆気にとられてあんぐりと口を開けて部屋のなかを見ていたら、笑いの坪に入ったジュリアンさんがしばらくの間笑い転げていた。
「サクに失礼よ、あなた」
シアーズさまを寝かし付けたシャロンさんが両手に服を抱えて部屋に入ってきた。
「サク、あなたの着替えよ」
「ありがとうございますシャロンさま」
ペコリと頭を下げて着替えを受け取った。
「あなたの世話をする侍女を二人用意していたんだけど弟たちからサクは自分のことは自分で出来る。旦那さまがただでさえ焼きもち妬きでのちのち大変なことになるって断られたの。いいわよね。愛されていて羨ましいわ。私もサクみたく熱烈に愛されたいわ」
ジュリアンさん本人がいる前で声高にそう口にするシャロンさま。
「義兄上は相変わらず姉上の尻に敷かれているようですね」
「恐妻家ですからね、義兄上は」
「頼むからそれは言わないでくれ」
痛いところを二人に言われ何も答えることが出来なかった。
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