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第94話

「サクまだ起きてるかしら?」 コンコンと遠慮がちなノックの音がして。シャロンさまの声が聞こえてきた。 「はい。起きてます」 ベットから立ち上がろうとしたら、 「そのままでいいわよ」 静かに入ってきたシャロンさまに止められた。 「疲れて休んでいたのに。ごめんなさいね」 「いえ、大丈夫です」 首を横に振った。 「隣に座ってもいいかしら?」 「はい、どうぞ」 お尻を少し横にずらすとシャロンさまが隣に腰を下ろした。 「カドモス侯爵のアデル嬢のことなんだけど」 「彼女にとって僕は父と兄の敵です。だから恨まれても仕方がないと思います。聖女として姉だけ召喚されていれば誰も傷付くことはなかった、そう何度考えたことか。でもアルさまとセドさまに出会って、慣習を破ることになってもずっと二人の側にいたいと思うようになりました。二人の隣に立てる相応しい人になりたいとも思うようになりました」 自分で何を言ってるか分からなくなってきた。 「つまり殿下は自分のだから誰にも渡さないってことでしょう」 シャロンさまが嬉しそうににんまりと笑った。 「姉上は一体何がしたいんですか?皇宮に戻れば殿下にお会いする前に皇后陛下に間違いなく捕まります。皇后陛下はサクさまを親しい友人たちに紹介したくてうずうずされているんですから。皇后陛下はご自分が主催するお茶会に参加させたくてすでに招待状を送ってますし、皇帝陛下は閣下とサクさまを重臣たちにお披露目するために会食の場をすでに準備しています。ゆっくり休めるとしたら今夜しかありません」 スフィルさんとゼオリクさんが部屋に入ってきた。

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