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第96話
柔くて寝心地のよいベットに横になるとすぐに睡魔が襲ってきて。ものの数分でストンと寝てしまった。でも次に目が覚めたとき、
「な、な、な……」
なんでという言葉がすぐに出てこないくらいそのくらい驚いた。
ジュリアンさんの広くて逞しい胸元にしがみつき腕を枕代わりに寝ていたんだもの。誰だって驚く。
「記憶にないと思うがうなされて泣いていたんだぞ」
欠伸をしながら眠り眼を擦りながらジュリアンさんにそう言われ二度驚いた。記憶にまったくなかった。かといってジュリアンさんが嘘をついているとは思えなくて。
「無理もない。いろいろあったからな」
ぽんぽんと頭を優しく撫でられた。
「サクに添い寝することに関してはシャロンにはあらかじめ許可をもらっているから安心していいよ。サクにゆっくりと滞在してもらいたくていろいろと準備はしていたんだけどまさか手荒い歓迎を受けるとは思ってもみなくね。カドモス侯爵今回ばかりは許せないな」
ジュリアンさんが険しい表情を浮かべた。
「サク、耳に入れておいて欲しい話しがある。聞いてくれるか?」
「はい。ジュリアンさんこの腕を抜いてもらってもいいですか?」
「何を言ってる。駄目に決まっているだろう。駄々を捏ねるぞ」
むすっとして唇を真一文字に結ぶジュリアンさん。
「えぇ~~そんな~~」
いままでとはまるっきり違うジュリアンさんに戸惑った。もしかしてこっちが本当のジュリアンさんなのかな。僕がいままで見てきたジュリアンさんは一体なんだったんだろう。
呆気にとられていると、
「最強騎士と恐れられる男の本性がこれなんだ。やはり幻滅するよな」
「いえ、そんなことはありません」
慌てて首を横に振った。
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