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第99話

「サクです。宜しくお願いします」 ぺこりと頭を下げた。 「お前ら五月蝿いぞ」 「サクさまの安眠を妨害するとはいい度胸をしているな」 扉の方からスフィルさんとゼオリクさんの声が聞こえてきたから二度驚いた。気配を感じなかったからぜんぜん気付かなかった。いつからそこにいたんだろう。 「静かに出来ない者にサクさまの護衛は無理だ。辞退しろ」 「俺たち兄弟で十分なのに」 スフィルさんとゼオリクさんがチラッとジュリアンさんを睨み付けると、 「俺、悪くないし。文句は父上に言ってくれ」 悪びれることなくしれっとして答えた。 「都合が悪くなると逃げますよね、義兄上は」 「知らぬ存ぜぬですよね、義兄上は」 スフィルさんとゼオリクさんに耳の痛いことを言われ、ジュリアンさんはぐうの音も出なかった。 「ジュリアン様、た、大変です!」 血相を変えて側近のニクスさん飛び込んできた。 「今度はなんだ?たいした用でなかったら怒るぞ。朝から五月蝿くておちおち寝ていられなくて機嫌が悪い」 「そ、それがですね……」 言葉を詰まらせるニクスさん。 「まどろっこしい。いいから早く言え」 「陛下と皇后陛下が……その……お忍びでいらっしゃいました。急な訪問に公爵夫妻も驚いてまして上を下への大騒ぎになっています」 「なんだと」 「サクさまが魔物に襲われたと聞いて心配になり見えられたそうです。ジュリアンさま、サクさま急いで用意をしてください」 「サクが皇宮に戻るのをなぜ待っていられんだ」 「お二人ともサクさまをたいへん可愛がっておられますから。陛下も皇后陛下もサクさまが心配で一睡も出来なかったと話していましたよ」 「サクは無事だと確かに伝えたはずなのに。お二人がこれほどまでサクを大事に思っているとは……」 深い驚きを吐き出すようなため息をつくジュリアンさん。

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