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第105話
そのあと馬車に乗り込んで町に向かった。
「本当はお忍びでサクとアルに町を案内する予定だったんだ。まさかこんなに大事になっているとは。お喋り好きなカラスがいるようだ。サク、疲れていない?」
「大丈夫です」
「嘘。さっきから欠伸を我慢していない?気のせいじゃないよね?」
「えっと、その……」
ジュリアンさんが添い寝をしてくれたのはいいけど、朝になってもなかなか離してくれかったから寝不足気味だとは口が裂けても言えなかった。どう説明すればいいんだろう。すぐに答えることが出来ずにいたら、
「セド、私のサクをいじめないでほしいな」
アルさまが助け船を出してくれた。
「いじめてないよ。私の、でなく私たちの、だろ?」
「それはそうだけど」
さっきからずっと不満そうな顔をしているアルさま。
「そんなに俺の隣が嫌か?三人で一緒に座るとかなり狭いだろ?」
「だからといってスフィルをサクの隣に座らせなくても」
「昨日の今日だ。いつ襲われるかわからない。それに」
「グラシオ卿、すみません。これは陛下のご命令ですので」
「分かってるよ」
プイッとそっぽを向くアルさま。
「市井で暮らしていた頃は貧しくても幸せだったなと思って。自分達が先に逝ってもユフと二人で生計を立てられるようにと剣の稽古を厳しくしてくれたり、領地管理の基本をみっちり叩き込んでくれたりと、見聞を広めるためにはまずは知識を身につける。そのためには読書が必須と本も買ってくれた。セバスチャンには感謝してもしきれない。このまま王宮に呼び出されずに済めばよい、そう思っていた」
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