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第106話
「王妃はきみを皆の前でいびるために呼び出したんだろ?悪趣味だよな。離宮に押し込め、外出も禁止され、ろくに食事も与えず。王妃の癪に障れば折檻される。それが日常茶飯事だったと人伝に聞いた」
「一人だったら間違いなく精神的におかしくなっていた。でもユフがいてくれたから剣の鍛錬は欠かさなかった。セバスチャンも王妃の目を盗み危険を覚悟の上で私に食べ物や服を持ってきてくれた。王宮に呼び出されなかったらサクに会えなかった。今は良かったのだと思うようになった。セド、あなたにも会えなかった」
セドさまをじっと見るアルさま。
「そんなに見詰められたら恥ずかしいだろ?」
照れ隠しに頭をかいた。
「サク足元に気を付けて」
「ゆっくりでいいからおいで」
先に馬車を下りて手を差し出すアルさまとセドさま。
セドさまの后とはいえ僕もアルさまも敵国の人間だ。快く思っていない人がいてもおかしくない。昨日みたくまた襲われたら僕たちだけでなくここにいる無関係な人たちも巻き込んでしまう。二人の手をなかなか取ることが出来ないでいたら、
「サクさまに危害を加えようとする不埒な輩はすべてゼオリクとゲリー兄弟が排除してくれます。ですからなんの心配もありませんよ」
「スフィルさんありがとう」
「サクさまをお守りするために俺たち兄弟がいるんですよ。それにゲリーたち兄弟も。サクさまに頼ってもらえるなら護衛騎士として本望です」
心強い言葉を掛けてくれて。背中をそっと押してくれた。
アルさまとセドさまの手を取り、ゆっくりと馬車から下りると、セドリック殿下!、サクさま!、グラシオ閣下!と割れんばかりの歓声があがり、わぁっと一斉に町のみんなが集まってきた。
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