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第109話
露店がずらりと軒を並べていて、食欲をそそる甘い匂いや、肉を焼く美味しそうな匂いや、パンを焼き上げる香ばしい香りが漂っているんだもの。
さっき朝ごはんを食べたばかりだけど、お義母さまたちにずっと見られていたせいか緊張してしまい、ス―プの他に何を食べたか覚えてない。
「セドリック殿下、グラシオ閣下、うちの串焼きを是非食べていってください」
大柄の男がニコニコと笑いながらセドさまに声をかけた。
「殿下、こちらをお使いください」
奥さんかな?ふくよかな体格の女性から木の丸い器を渡された。
「ありがとうございます」
ぺこりと頭を下げると、
「妃殿下さまがあたしらにお礼をしてくれるなんて。あの聖女さまはお礼なんか一切しないわよ。串焼きの串、あれ、すごく高いからさ、本当は返してほしいんだけど面と向かって言えなくてさ」
「そうなんですね」
「あ、でも大丈夫だよ。ミサがあるときうちの亭主が回収してきてくれると思うから。妃殿下さまのお口に合うかどうか、さぁ、どうぞ。遠慮せずに召し上がってください」
串から外した肉を一口大にナイフで切りながら皿にでんと盛られた。
両手を合わせていただきますを言ってから肉を頬張るとハ―ブの香りが口の中いっぱいに広がった。
「美味しいです。しっかりと塩味がついてお肉もすごく柔らかいです」
「それは良かったわ」
女性が安堵のため息をついた。
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