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第110話
「アルさまとセドさまは食べないんですか?」
「サクに食べさせてほしいな」
「俺も」
アルさまとセドさまが口を開けた。ただでさえ注目の的になっているのに。恥ずかしがっているのは僕だけで、二人ともにこにこと機嫌よく笑っていてとても楽しそうだった。
「口移しでと言わないだけいいと思わない?」
アルさまに天使のような笑顔でとんでもないことを聞かれて頬が真っ赤になった。
「あ、その手があったか」
手をぽんと叩くセドさま。
「夕食のあとのデザートは寝室に運ばせよう」
「セドさんそれいいですね」
アルさままですっかり乗り気でいる。二人に口移し……だなんて。二人から数えきれないくらいされた口付けを思い出してしまって。顔から火がでるくらい恥ずかしくなった。
「サク、顔が赤いようだけど、どこか具合でも悪いの?」
アルさまに顔を覗き込まれどきっとした。
「きっとジュリアンのせいだな。今回ばかりは許さんぞ」
「セドさま、ジュリアンさんは無関係です」
なんでそうなるのかな?二人とも怖いよ、顔が。
視察を終えたのちセドさまがどうしても僕たちに見せたい景色があると、小高い丘の上に連れていってもらった。そこからは帝都を一望することができた。
「こうして見ると難攻不落の城塞都市だということが改めてよく分かるよ。北の砦は足元にも及ばない。スケールが違う」
「これから北の砦は帝都に匹敵するような二番目に栄える都市としておおいに発展するだろう。アル、これからもきみの力を貸してほしい」
「それは同じ妻を持つ者同士として?それとも恋敵として?」
「その両方だ。アル、ちょっと耳を貸せ」
セドさまがアルさまの耳に小声で何かを囁いた。
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