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第111話

「殿下たちはよからぬことをまた考えているみたいね」 ゲリ―さんがくすくすと笑った。 僕は二人から少し離れたところにいた。スフィルさんたちや黒の騎士団の皆さんと一緒に休憩していた。こんなときでもないとみんなと話す機会がないから。もちろん二人にはちゃんと説明をして許可をもらってあるから焼きもちを妬かれることはないと思う。多分、だけど……。 「年が離れているから喧嘩は滅多にしないんでしょう?」 はい、と答えようとしたら、 「しょっちゅうだ」 「日常茶飯事だ」 スフィルさんとゼオリクさんが真顔でボソッと呟いた。 「十六歳のグラシオ閣下に対して、殿下は大人気ないところが多々ある」 「そう。グラシオ閣下のほうが殿下より大人じゃないかと思うことが多々ある」 「ほんの些細なことでサクさまを取り合うことはしょっちゅう。サクさまのお体は一つしかないのに。殿下もグラシオ閣下もサクさまに対する愛情が重すぎるんです」 「まさか義兄上までサクさまを溺愛しているとは思いませんでした。三人ともしつこいですからね。サクさまのお体がただただ心配です」 「ありがとうございます。心配してもらって。でも大丈夫です。こう見えても体は丈夫なほうなので。インフルエンザにも一回もかかったことがないですし、風邪をひくのも年に一回くらいですし……」 みんながきょとんとしていた。 「ご、ごめんなさい。わけが分からない話しをして」 えへへと笑って誤魔化した。

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