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第120話
「んんっ、ふ……」
葡萄を器用に舌先で転がしながら、上顎や歯列の裏を確かめるようになぞられて。それだけで息があがった。
背筋が蕩けてしまいそうなほどの甘い口付け。合わさった口唇と体を抱く腕からセドさまの熱情が伝わってくる。口唇が名残惜しそうに離れていった。
「うん、みずみずしくて美味しい葡萄だ」
にっこりと満足げに微笑むセドさま。
「次は私の番だよ。あ~んして」
葡萄を摘まんだアルさまの細い指が口の中に入ってきた。
「私はセドみたく器用ではない。まだ子どもだからね」
にっこりと笑むと葡萄を僕の口のなから取り出して、そのまま自分の口の中に入れた。
「うん、確かに甘くてみずみずしい。でも私はこっちのほうがいいな。セド、手を離してくれないかな?」
「分かったよ」
渋々ながらも僕の腰から手を離すセドさま。
アルさまに抱き寄せられるとすぐに口唇が重なってきて舌が口内に入ってきた。最初はたどたどしくてぎこちなかった口付けもこの頃ようやく慣れてきたみたいで、キスをしながら会話をする余裕が出てきたみたいだった。
「ん、ん、んんっ」
舌を絡め、柔らかく吸われ、口づけがより深くなる。切ない疼きが胸の奥を駆けめぐる。
角度を変えて口づけあうたびに濡れた音が部屋に零れる。
「アル……さま」
頭がぼうっとする。気持ち良すぎて、幸せすぎて全身が火照っている。
ようやく離れた唇の隙間からアルさまの名前をよぶと、額と鼻先と頬に唇が触れてきた。
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