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第123話

「アルさま……」 デュベイからそっと顔を出した。 「どうした?」 「僕も行きます」 「ゲリー卿が戻ってくるまでここで待機だ。無闇に動かない方がいい」 「それは分かっています。騎士さんたちが倒れたって言っていたからなにもしないで待っているのも……」 「そうだな。でも、まずは着替えをしようか?その格好ではみな目のやり場に困ってしまうから」 「えっ?」 アルさまに言われギクッとした。 なんで下だけスースーするのか。ずっと不思議で。何気に下を見ると、何も身に付けていないことに初めて気付いた。 「な、な、な………!」 顔から火が出るくらい恥ずかしかった。 「脱がせた張本人は私ではなくセドだよ。サクはお腹を冷やすとすぐに体調を崩すからと忠告はしたよ。でもサクがあまりにも可愛くてね」 アルさまの手が顎をすくう。顔が近付き、見つめ合うと唇が重なってきた。 「やっと二人きりになれたし、本当はもっと口づけをしたかったけど、スフィルが扉の前で聞き耳を立てているからね」 名残惜しそうにチュッと軽く音を立てて唇が離れていった。 外に出ると底知れぬ怒りと憎しみの感情が伝わってきた。これはカドモス侯爵の娘さんのだ。そういえば名前、まだ聞いていなかった。

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