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第126話

「やはりここにいるのは良くないようだ。サク、部屋に戻ろう」 「騎士の皆さんが大変な思いをしているのに。僕だけ安全な場所に避難するのは……」 「サクの気持ちはよく分かるよ。分かるけどサクまで具合が悪くなったらそれこそ相手の思う壺だ」 「サクが私たちの心配をしてくれるのはすごく嬉しいよ。でもサク自身もっと自分を大切にしてあげてほしいな」 二人と目が合うとにっこりと微笑んでくれた。 「これはこれはお久し振りですセドリック殿下」 すれ違いざま右目にモノクル(片眼鏡)を掛けた四十歳前後の男性に声を掛けられた。無愛想で淡々としていた。 「あれ、無視ですか?叔父に対してその態度は酷くありませんか?」 「神殿以外誰一人貴方を先代皇帝の御子とは認めていませんよ」 セドさまが早足で歩き出した。 「まさか男が次期皇后だとは。なんとも嘆かわしい。法律を変えてまで男を皇后にする意味はあるんですか?しかも滅ぼした国の王子を処刑せずに厚遇するとは」 声高にセドさまとアルさまを挑発する男性。 セドさまとアルさまは無視を決め込み相手にしなかった。 「サクさまにいちゃもんをつけたのがルパート卿よ。超問題児。先代皇帝が魔獣討伐のため辺境に赴いたとき急激な天候悪化で近くの村に避難したの。天候が回復するまでその村にあった教会を宿舎として一週間滞在していた。その時陛下の身の回りの世話をしていたのが村長の娘で、先代皇帝のお手がついて彼を身籠ったみたい。調べたら色々と悪い噂がある女性で、先代皇帝を色仕掛けで誘惑して関係を持ったんじゃないかと専らの噂なのよ」 「そうだったんですね」 ゲリーさんの説明になるほどと相づちを打った。

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