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第129話
「殿下、閣下」
スフィルさんとゲオリクさんが慌てた様子で駆け込んできた。
「どうした?」
「今しがた伝書鳩がユフからの手紙を運んできたのですが」
緊急事態を意味する赤い紐が鳩の足に括りつけられていた。すぐに手紙に目を通すアルさまとセドさま。
「母上、申し訳ありませんが領地に急ぎ戻らなくてはいけなくなりました」
「どうかしたの?」
「地震です。二度も大きな揺れに見舞われて、山間部は壊滅的な被害を受けているようです」
そこへお義父さまが護衛騎士を伴い姿を現した。
「ウィーヴェン辺境伯からも伝書鳩が来たから地震が起きたのは間違いない。帝国軍をすぐに派遣することになった。エリに陣頭指揮をとるように命じたところだ」
お義父さまの表情がさえなかった。
「俺やアルを誘き寄せる罠かもしれない。ということですか?」
「あぁ。前の聖女が異世界から持ち込んだものをクチュリエル子爵は国に報告せずずっと隠していたものを戦争の混乱に乗じて配下のものがひそかに持ち出し、カドモス侯爵に渡したようだと侯爵の屋敷に潜り込んでいる密偵から報告が来た」
姉は聖女としてこの世界に召喚されたとき何を持ち込んだのだろう。パッと頭に浮かんだのは大麻や麻薬などの違法薬物だった。薬物中毒者とは?教えてと携帯電話に話し掛ければすぐに検索してくれるけどこの世界にはそんな便利なものはない。
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