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第18話

「も……っっイクッ、ハ、ル、はなして」  もう何度も経験しているのに、未だに俺の口の中に吐き出すのを嫌がる。『離して』と懇願されるが、一度も離したことはない。  最後の仕上げと甘噛みすると、詩雨さんの身体がぶるんっと震えた。俺の口内に苦味ある熱い液体が迸った。 「はぁはぁ」  激しい呼吸を繰り返す。その瞳は今まで拒絶していたとは思えない程熱で潤んでいた。 「ハルぅ……ほんと、それ、やめろよぉ……」  口いっぱいに含んでも含む切れなかった白濁が俺の口許を伝う。それを見て、また顔を朱に染め、スッと視線を反らす。 (終わりじゃない、これからが本番だ)   既に終わった感のある詩雨さんに言ってやりたかったが、口の中の大事なモノが零れてしまうので言えない。 (まったく残念だ)  俺は口内のモノを掌に放った。ぬらぬらした手で、彼の固く閉じた後口に触れる。その周りに塗りたくり、指を一本入口に少しだけ埋める。 「だめだっ、ハル、そこはっ」  突然覚醒した上に、はっきりとした拒絶。  勿論、スルーだ。 「詩雨さん、ずいぶん早かったね。味も濃かった──自分でしてなかった?」  耳許で意地悪く囁く。こういうことをあけすけに言うと、詩雨さんは嫌がるし、恥ずかしがる。でも今日は思い切り言葉でも攻め倒したい気分だ。 「俺はしてたよ。詩雨さんのこと考えながら」  耳まで朱くなる。  言葉にはしないがたぶん彼は自分ではしていなかったんだろう。後口はかなりきつく指一本を入れるのは大変だった。  詩雨さんは割りとそこいら辺は淡白で、俺との温度差にまた荒れた気持ちになる。  俺はきついそこを無理矢理抉じ開けた。 「つっ痛いっ」 「悪い、今日は優しくできない」  なんとか一本目を入れると少し慣らしてすぐに二本に増やす。相当痛い筈だ。 「ハルっ、無理だ……っ」 「無理? 何で?」 「海がいるからっ」  この状況でもまだ同じ言葉を繰り返す。 「あいつの名前なんて呼ぶなっ」  口づけでその口を塞ぎ、後口付近を限界近くの屹立で擦る。  詩雨さんの身体が大きく震えた。これから起こることへの期待とかではなく、恐らく戦きだろう。  それも、そうだ。  まだ充分に解せていない。今挿入すれば怪我をするレベルだ。  それでも、俺は止められない。  少しだけ情けをかけて俺の先走りを塗りたくる。本当に雀の涙程度の労りだ。  壁に押しつけ立ったままの体位は始めてだ。詩雨さんの片足を持ち上げ、俺の肩にかけた。詩雨さんにはだいぶきつい体勢だろう。 「ムリ……ッムリだからぁ」 「聞こえないっ」  ぐっと下から力を込め頭を入れる。 「いつっっ」  悲痛な叫び。 「詩雨さん、力抜いて。このままじゃ切れる」 「じゃあ、やめろよっ」  

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