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序章 /2
「どうしてまだ生きているの!?」
ヒースを見た瞬間、タウンゼント卿の膝の上で戯れるように座す彼女は赤らんでいた顔が真っ青に変化する。
悲鳴にも似た声を上げた。
「おのれ、死に場所を亡くした亡霊が!」
タウンゼント卿が吐き捨てると、周囲に配置していた兵士たちがグリップを握り、一斉に剣を突きつけてくる。デューイはヒースを押し出し、一手に引き受けた。
ヒースはいかに鮮血を口から吐き出そうとも、その場に膝をつく無様な戦いはしたくはなかった。
自分のために散っていった命のためにも――。
そして、この場にいる盟友たちと自分自身のプライドのためにも――。
怒号が響く中、タウンゼント卿が動いた。ヒースに避ける術はない。ただでさえ立っているだけで精一杯なのだ。
なんとかタウンゼント卿の剣を流し、下方向から剣を一気に引き上げる。
相手がよろめき姿勢を崩すと、ヒースは腹部を踏みつけ、切っ先を喉元に向けた。
「た、助けてくれ! 彼女に唆されただけなんだ!」
タウンゼント卿が命乞いをする中で、指を差した先に、彼女の姿はそこにはなかった。彼女はタウンゼント卿も見捨てたのだ。
彼女が欲していたのは愛ではなく、確かな地位と金だったのだ。
ヒースは彼女を信じた己の愚かさを呪い、切っ先を振り下ろす。
そして――。
ヒースは目を開けた。
ヒースは汗に濡れた顔を拭いながらテーブルに突っ伏していた上体を起こした。同時に周囲の喧噪が脳を刺激する。
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