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序章 /6

 フード男が何者にしろ、どうせ自分の素性はもう知られてしまっている。況してやただでさえ目立つ容姿をしているデューイの素性など明かされるのも時間の問題だ。ヒースは躊躇なく打ち明けた。  ――のだが、ヒースの紹介が気に入らないらしく、デューイは不服そうだ。 「誰が腐れ縁だよ、命の恩人に対してそれはないだろうが!」 「おお、貴方様がコッカー卿でございますか! マクブレイン卿と共に戦地へ赴かれ、窮地に立たされた戦を好転させた御方だと巷では噂となっておりますれば!」 「ほら見たことか、誰もがこのぼくの功績を知っているじゃないか」  フード男の賞賛の声に、デューイは胸を張った。  デューイには周囲を明るくする能力がある。それは戦場でも同じだった。生死を賭けた中でも彼は兵士たちを鼓舞し、自身の力を十分に発揮させることのできる素晴らしい能力だ。彼のおかげで不利な状況に陥ったとしても勝利することがいったい何度あっただろうか。自分にはない彼のもっとも優れた部分のひとつだと、口にこそ出さないが、ヒースは常々思っている。  しかし、デューイの特技はそう長くは続かなかったらしい。フード男はひとつ苦笑すると顔を曇らせた。なかなか内容を話したがらない様子からして、他人に知られては拙いない内容なのだということはよく判った。

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