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第1話 /3

 かくいうエマリー自身も彼を師として慕い、憧れもあったというのに、今はどうだろう。彼を煩わしいとさえ思うようになっていた。  ――エマリーがマニオンに苦手意識を持つようになった時期は明確だ。  エマリーが弱視――いわゆる周辺が見えにくくなる病の視野狭窄と、暗い場所で極端に視力が悪くなる夜盲という合併症を患ってからのことだった。  彼は事あるごとにこうしてエマリーの身体を気遣うようになっていた。それも執拗なほどに――。  彼は親切心でのことなのかもしれないが、エマリーにすれば煩わしいばかりで、まるで自分は助けがないと何もできない無力な王子だと言われているような気がしてならないのだ。いくら弱視とはいえ、完全に盲目になったわけでもなく、こうして馬を走らせるほどにしっかり見えている。ただ、周囲が見え辛いのと、薄暗い場所で極端に視力が奪われるだけなのだ。そこまで苦労している訳ではない。  そもそもエマリーが目の合併症を患ったのは、本来なら王子が食す筈だった食べ物を毒味役が口にし、命を落としたのがきっかけだった。  自分のために何の罪もない尊い命が犠牲になった。この出来事がエマリーに極端なストレスを与えた。  その日から三月が過ぎた。発症したこの弱視は治療さえ施しようのない原因不明状態で、どの医師に診てもらったとしても、いつ、この病が治るかさえも不明瞭なまま今に至る。  エマリーに毒を盛った主犯格はあらかた察しがついている。次期国王の座を欲する者の計略。つまりは王権争いにある。

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