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第1話 /06
その声は二種類のものだと分かったのはようやく村の全貌が見えるようになってからのことだ。
幸い村は山の麓付近に根付いていたアカマツによって阻まれた土砂は堰き止められ、飲まれずに済んだようだが――しかし、安心とは程遠い光景をエマリーは目の当たりにした。
「これは……」
なんということだろう。
エマリーは目の前に広がる光景を見た瞬間、愕然とした。弱視であるこの目がまやかしを見ているのだと信じたかった。
しかしその耳に聞こえるのは、喊声と――悲鳴。
武器を持った盗賊数人が丸腰の村人たちを襲う姿だった。
「エマリー様はこちらでお待ちください。お前たち、行くぞ!」
マニオンが腰から剣を抜く。部下たちも同じく突撃の態勢をとった。
「ミーア!」
間もなくして女性が誰かを呼ぶ悲鳴を聞いた。その声を聞いた瞬間、エマリーの身体が動いた。
盗賊のひとりがまだ年端もいかない少女を連れ去ろうとしている姿が見えたのだ。
鐙を蹴り、馬を急かす。崖を下りて村の集落へ突き進んだ。背後ではマニオンが止める声を聞いた気がしたが、エマリーの焦燥感は抑えることができない。
(また――……)
目の前で儚い命が散り逝くのだと思えば胸が引き裂かれんばかりに痛みを訴えた。
馬から飛び降りるとそのまま鞘から剣を抜く。少女の前に躍り出た。盗賊は思わぬ所から邪魔が入ったことに驚き、目を見開いた。ほんの一瞬、隙が生まれたのを見逃さない。少女を背後へ隠し、庇う。
周囲にはエマリーに続いた兵士たちも駆けつけている。
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