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第1話 /09
仲間が助けてくれると信じているからなのか、この戦場で命を落とすのも覚悟の上なのか。切っ先を突きつけるこの男が人殺しのできない腑抜けな騎士だと思っているのか。あるいは、そのすべてなのかもしれない。
「お前さん、こいつを怒らせない方が身のためだぞ? 自分の利害のためなら人殺しでも何でもする男だからな」
いったいいつ忍び寄ったのだろう。見知らぬ騎士がもう一人、同情でもするかのように盗賊の右肩を軽く叩いた。
(この男、気配を感じなかった……)
一瞬のうちに相手の間合いに入り込めるなんてこの男、いったい何者なのだろうか。唐突に現れたこの騎士もまた、漆黒の鎧を着たこの騎士同様、腕が立つのだとエマリーにはよく分かった。
とはいえ、漆黒の騎士ほどの威圧的な雰囲気はない。腰まである金色の髪は後ろ手に束ね、着ている鎧も銀に身を包んでいる。漆黒の騎士とはむしろ対照的だった。
「仕方がない。お前から逝くか」
まるで人の命を奪うことに躊躇いもなさそうなほど、冷淡な言い方だ。
漆黒の騎士はふん、と鼻で笑い飛ばし、そう言うと勢いよく剣を天へ掲げた。そして勢いよく振り下ろす。
「っひぃいいいっ! わ、わかった! 言うとおりにするから命だけは助けてくれ。野郎ども、武器を捨てろ……」
頭領らしき男は両手を上げて降参を示し、同胞に命じた。すると勢いよく振り下ろされる剣は寸前のところで止まった。
盗賊の頭領は腰を抜かして息を切らしている。戦意はすっかり消え去っていた。
(――強い)
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