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第2話 /01

 ――誠実な側近と黒い悪魔。――  ◆ 「次!」  エマリーは荒れていた。だから早朝からはじまる兵士たちの訓練場に訪れ、剣を手にした。  手合わせをしている兵士の間に割り込み、今で何人目の対戦相手だろう。剣を交え、そしてすべての兵士を降参させていた。 「王子、もうこのあたりで良いではないですか王子がお強いのは、もうすでに皆理解しておりますゆえ……」  兵長がいきり立つエマリーを慰めるため、兵士の前に立って宥める。  ――そう。エマリーはたしかに強い。そのことは自分でも理解している。  しかし……それは健全だった当時のこと。  あるいは、正面から攻撃を受けた時のみ。  今は弱視。  自分には視野狭窄という障害をもっている。見える範囲はは以前よりもずっと狭い。攻撃は真正面からでなければいくらでも受けてしまう。どんなに剣の腕前があっても意味をなさないのだ。  だからこそ、兵士らは加減する。  エマリーが何者であるのかを熟知しているが故に――。  王子に傷をつければ自分たちの立場が危ぶまれる。だから城の兵士たちはエマリーを正面からしか狙わない。  そのハンディーキャップがあるから加減しなければならないのだ。  そんなことは理解している。  彼らには彼らの立場がある。  しかし――エマリーはそういったへつらい事にいい加減、嫌気がさしていた。 「なぜ皆、俺の死角から攻撃してこない!!」  エマリーが大声で吠えれば――。 「いったいどうされたというのです? いつものエマリー様らしくありませんぞ!」

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