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第2話 /02

 兵長はまるでないものねだりをして駄々をこねる幼子に言い聞かせるような、そんな仕草だった。  それがまた、エマリーを苛立たせる原因になることを彼らは知らない。 「もういい!! お前たちには頼まない!」 (皆、俺を馬鹿にしてっ!!)  エマリーは剣を投げ捨てると、石畳を強く蹴って訓練場を後にした。 「くそっ!」 (あの男、いったい何だというのだろう!!) 『お嬢ちゃん』  そう言った低音の皮肉めいた声は一夜明けてもけっして薄まらない。  たとえ些細なことであったとしても何かしら、事あるごとに昨日の出来事を思い出しては苛立ちが込み上げてくる。  それというのも、女扱いをされることが何かしらエマリーには多かったからだ。  実際、エマリーは二五になるこの歳でさえ、性別を間違えられたことが幾度もあった。  母親譲りのダークブラウン色の髪とモスグリーンの目。長いまつげやどんなに日に当っても日焼けしらずの色白な肌。身体を動かしても筋肉なんてつきやしない。華奢な身体のまま――。身長はなんとか一七〇センチはあるものの、マニオンよりもずっと低い。  自分のことを女性のように扱ってくるマニオンといい、昨日出くわしたあの男といい……。  おかげで一睡もできやしない。  民の前であんな侮辱を受けたのは初めてだ。 「しかしあの騎士二人は……」  いったい何者なのだろう。  盗賊を捕え、ひと段落した時には二人の姿はすっかり消えていた。  あの騎士たちはエマリーが何者なのかを知っていた。  だとすれば――答えはひとつ。

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