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季節外れの台風-3
しばらく無駄話を続けた後でようやく要件を確認すると、「今度帰るとき、もし良かったら華ちゃんも連れておいでよ」と、ただそれだけだった。
それならやっぱり、電話じゃなくてメッセージを残しておいてくれるだけで良かったのに。
「分かった、華に聞いてみるよ」
「高いお肉もらったから、華ちゃん来るならそれ食べさせようかと思って。あまり乗り気じゃないとか、用事があるとかなら無理に連れて来なくて良いからね。軽く聞くんだよ。うるさい姑になりたくないからね」
「大丈夫だよ、分かってるって。それだけ?」
「それだけじゃないよ。あんたの声も聞きたかったの」
「何だよそれ、来週帰るんだからいくらでも聞けるじゃん」
華に会えるかもしれないとの期待からか、いつもより母さんのテンションが高い気がする。
「これ以上用件がないなら切るね」と伝えると、その後は呆気なく切られてしまった。
スマホをポケットの中に戻し、残りの洗濯物も洗濯機の中へ入れ終えると、洗剤を入れスタートボタンを押した。
それから再度体を伸ばし、ドアの開閉にも気を遣いながら静かに寝室へ戻ると、彼女はまだぐっすり寝ている。
可愛い寝顔でも見るかと近づき、また新たに垂れている涎に笑っていると、枕元に置かれていたスマホの画面が光った。
メッセージの通知が来たようだ。
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