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季節外れの台風-9

 思い返せば、華があの先輩の話をし始めたのは、同棲を始めて2ヶ月経ったあたりだった。  同棲を始めるまでは、もしかしたら俺との将来をしっかり考えていてくれたのかもしれない。  お互いの家にも挨拶に行ったし、家具だってそれなりの物を揃えた。すぐに別れるつもりなら、そんな重荷になるようなことはしないだろう。  同棲がスタートして、さらに俺たちの関係が落ち着いてきて、それに安心した俺と物足りなくなってきた彼女ですれ違ったのだろうか。  そうでなければ、今さらこうなってしまった理由があまりにも分からなすぎる。  マリッジブルー? 俺のフォローが足りなかった?   今さら考えたところでどうにもならないのに、それでもあのときああすれば、こうすればというような、たられば話が頭の中を支配する。  でも、これまで揉めるようなこともなければ、彼女が不安そうにしていることもなかった。少なくとも俺にはそう見えていた。  気づいてあげられなかったのなら申し訳ないけれど、これだけ一緒に暮らしていて伝わらないのなら、伝えてもらえなかったのなら、俺にはどうにもできない。  それに今の彼女を見ていたら、俺のことを好きだったとは思えない。

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