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一体なんなんだ?-4

「感染症ではないです。恐らくストレスでしょう。最近何かありましたか?」  病院は珍しく混んでおらず、スムーズに診察を受けることができた。  俺はこれまで体調を崩すことほとんどがなかったから、この病院に来たのは久しぶりだった。  何となく記憶にあるおじいさん先生が、優しく翼を診てくれている。 「春から大学生になって、引っ越しもして、慣れない人との同居生活に……、とにかく色々ありました」 「……いや、別にストレスってわけじゃ」  医者に説明する俺に、翼が申し訳なさそうに言葉を付け足す。 「自覚はなくても、いきなり身体に出ることはありますからね。念のため、お薬を出しておきますね」  高熱と頭痛のみで、喉の痛みや咳がなかったことや、感染症ではないことから、翼を隔離する必要がなくて安心しながら、帰りにゼリーやヨーグルト、果物など、翼が食べられそうなものを買って帰った。 「俺、りんご剥くの下手くそだけど良いか?」 「航大が準備してくれるだけで、嬉しい。……ごめんね、ありがとう」  何かお腹に入れてから薬を飲むのが良いだろうと、食べられそうなりんごを剥いて出した。  皮がところどころ残っていて、ガタガタになっているりんごを、翼は少し頬を緩めながら、ゆっくりと口に運ぶ。  絶対に下手くそだと思ったに違いないその笑みを見ながら、それくらいの余裕が出てきたのは良いことだと、そう思いながら翼を見つめていた。

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