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一体なんなんだ?-9

「ひとりでこうして悩んでいるから間違いなんだ、翼を見て確かめるしかないか……」    何かは分からないけれど覚悟を決め、あたかも今起きたかのように寝室を出ると、リビングのソファに座っている翼がテレビを見ていた。 「航大、おはよう。早かったね」 「あ、うん……。おはよう」  お前やってくれたなあ!? くらいの気持ちで翼のもとへ行ったはずなのに、いつもと何も変わらない翼を前にすると、もしかしたら俺の勘違いだったのかもと、自信がなくなってしまった。 「航大のおかげで熱が下がったし、体調も良くなった。ありがとうね」 「回復したなら良かったけど……」 「これからは無理しすぎず、適度に航大に甘えるようにするわ」 「……お、おう」  だから改めてよろしくと、そう言った翼はソファから立ち上がり、俺の目の前にやってきた。  身体差はそこまでないのに、なぜか圧倒されてしまう。  改めてよろしくってことなら、握手でもするのかと手を出してみると、翼は「ん?」と首を傾げた後で柔らかく笑い、それから俺の手を掴むと自分のほうへ抱き寄せた。 「えっ……!?」 「改めてよろしくね、航大」 「ハグ……?」 「そうハグ。握手より良いでしょ。改めてって感じがするし」 「……ええ?」  背骨をなぞるように触れられ、思わずびくりと肩が動くと、それを翼に笑われた。ふふっと笑うその息が耳元にかかり、またさっき感じたようなムズムズ感に支配される。  背骨から首の後ろへと上がってきた翼の手は、最後髪の毛に入れられ、わしゃわしゃと動かされた。

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