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一体なんなんだ?-14

「……ほしいとかじゃなくて、撮られたから仕返しって感じだよ。そもそもお前は俺の写真がほしくて撮ったの?」  撮ることを諦め、俺は机にスマホを置くと、いただきますと手を合わせて、1番近くにあった料理へと手を伸ばした。 「そうだよ?」 「……ええ、」  さらっと答えた翼は、再びスマホを俺に向けると、2枚目をカメラにおさめた。ちょうど口に運んできたタイミングだったから、絶対にさっきよりも間抜け面だと思う。 「……撮るまでが早すぎるんだよ」 「ゆっくりしたら航大嫌がるじゃん」 「嫌がるって分かっていて、撮るのは違うんじゃない?」  早く食べろよと促すも、翼はスマホを離さない。 「じゃあどうしたら嫌がらないで撮れるの?」 「そんなに撮りたいのか?」 「当たり前じゃん」 「せめてふたりで撮れば? 俺ひとりだと気まずいじゃん」 「え? 俺と撮ってくれるの?」  何も変なことを言ったつもりはないのに、翼は目を開いて驚いていた。  一緒に来ているんだから、ふたりで撮るほうが自然だろうに。 「逆にそっちのほうが良くね?」  そう言って箸を置いたとき、注文していた飲み物が運ばれてきた。  一連のやりとりを書かれていたかもしれないと焦る俺に対し、さらりと「お撮りしましょうか?」と声をかけてくるスタッフさんに顔が引き攣る。  なんか恥ずかしくないか?    数秒固まってしまった俺を差し置いて、翼は「お願いします」とすぐにスマホを差し出した。 「はい、撮りますよ〜」  恥ずかしさが残ったままの俺とは対照的に、撮り終えた後の翼は見て分かるくらいに頬が緩んでいた。

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