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一体なんなんだ?-18

 ひとしきり泣いて部屋に戻ると、布団が敷かれていた。布団の間には隙間が作られていて、絶妙な距離がある。 「航大、疲れたよな? ゆっくりする?」 「……とりあえず歯を磨く」 「そっか。じゃあ俺は露天風呂に行ってくる」  食べた直後に風呂に入れるのかと驚きながら見ていると、おそらく赤くなっている俺の瞼に、翼は優しく指先で触れた。  最後に頭を数回撫で、それからしゅるると帯を解き、俺の前で下着姿になった。 「なんでここで脱ぐんだよ」 「見せつけようと思って」  チラリズムのほうが良かった? とはだけた感じで着直し、セクシーなポーズを取る。  大浴場でも見たけれど、引き締まった身体は嫉妬するほどだし、何ならあれだけ食べたのにお腹が出ていないことがあり得ない。 「は? 意味分からんし」  変わらず決めポーズをしたままの翼に思わず吹き出すと、翼は浴衣を羽織直した。   「ははっ、やっと笑った」  それから嬉しそうに、安心したように笑い始める。 「え?」  どうしてこんなくだらないことをするのかと思ったけれど、もしかして俺を慰めるためだったのか?  俺が笑っただけで喜ぶ翼を見ていると、身体がムズムズしてきて、なんだか落ち着かない。  前にもこんなことがあったけれど、俺のせいというより翼のせいというか。 「航大には笑っててほしいから」 「……泣くのはみっともないしな」  視線を逸らして口を結ぶと、翼が俺の頬を親指と人差し指でむにゅっと摘んできた。

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