48 / 186
一体なんなんだ?-18
ひとしきり泣いて部屋に戻ると、布団が敷かれていた。布団の間には隙間が作られていて、絶妙な距離がある。
「航大、疲れたよな? ゆっくりする?」
「……とりあえず歯を磨く」
「そっか。じゃあ俺は露天風呂に行ってくる」
食べた直後に風呂に入れるのかと驚きながら見ていると、おそらく赤くなっている俺の瞼に、翼は優しく指先で触れた。
最後に頭を数回撫で、それからしゅるると帯を解き、俺の前で下着姿になった。
「なんでここで脱ぐんだよ」
「見せつけようと思って」
チラリズムのほうが良かった? とはだけた感じで着直し、セクシーなポーズを取る。
大浴場でも見たけれど、引き締まった身体は嫉妬するほどだし、何ならあれだけ食べたのにお腹が出ていないことがあり得ない。
「は? 意味分からんし」
変わらず決めポーズをしたままの翼に思わず吹き出すと、翼は浴衣を羽織直した。
「ははっ、やっと笑った」
それから嬉しそうに、安心したように笑い始める。
「え?」
どうしてこんなくだらないことをするのかと思ったけれど、もしかして俺を慰めるためだったのか?
俺が笑っただけで喜ぶ翼を見ていると、身体がムズムズしてきて、なんだか落ち着かない。
前にもこんなことがあったけれど、俺のせいというより翼のせいというか。
「航大には笑っててほしいから」
「……泣くのはみっともないしな」
視線を逸らして口を結ぶと、翼が俺の頬を親指と人差し指でむにゅっと摘んできた。
ともだちにシェアしよう!

