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一体なんなんだ?-21
「……ん?」
身体に重みを感じたのと、やけに暑苦しいのとで目を覚ますと、部屋の電気が消されていた。
やっぱりあのまま眠ってしまったのかと思いながら、不自由な身体に意識を向けると、翼が俺に巻き付くようにして寝ていた。
布団には距離があったのに、ここまで転がってくるか? と呆れながら確認すると、離れていたはずの布団がくっつけられていた。
……翼がくっつけた?
横を向くと、月明かりに照らされ、俺に抱きつく翼の顔がはっきりと見えた。
寝ているだけなのに整いすぎている顔を見ながら、大きくなったなと、ふと成長を感じた。
「はあ……」
翼がまだ、幼児あるいは小学生ならこういうことをされても納得できる。中学生もギリギリ許されるかもしれない。
けれど、翼はもう19歳でそこそこの年齢だ。
それなのに、自分よりも年上の男にこうして距離を詰めてきたり、一緒に暮らしたいと希望したり、俺が悲しむと自分ごとのように捉えたり、……それからあの日のようにキスをしてきたり。
そういうのって、可愛いねと受け入れて済む話ではないのかもしれない。
……まさかね、うん。まさかだよな?
そっと翼の腕から逃れると、できるだけ布団の端に寄り、頭に浮かんで離れないその考えを振り払おうと羊を数えることにした。
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